出口(売却)の際の税金
不動産投資の出口戦略と言えば、一般的なものは売却です。
売却の際の税金は以下のようになります。
- 基礎
売却の場合の税金の計算は
[売価-(購入価格-減価償却累計額)-売却経費]×税率
という計算式で計算されます。
よく忘れられるのが、購入価格から減価償却累計額を控除することです。
「先生!1億円で購入した物件を8,000万円で売却しました。マイナスですから税金はかかりませんよね!」と勢いよく言われることがあるのですが、減価償却累計額によっては売却利益が出ている可能性も十分にあります。
となると、税金がかかってしまいます。
税率は、個人の短期譲渡(譲渡年の1月1日における所有期間が5年以下)の場合39%、長期譲渡(譲渡年の1月1日における所有期間が5年超)の場合は20%です。
法人の場合には通常の利益と同様に利益800万円以下の部分は約26%、800万円超の部分は約41%の税率で課税されます。
- 特例1 特定の事業用資産の買替
投資用の不動産の場合、譲渡年の1月1日における所有期間が10年を超え、譲渡年の前年1月1日~翌年12月31日までに他の投資用の不動産を購入した場合、買い替え特例の適用があります。
http://www.nta.go.jp/taxanswer/joto/3405.htm
この特例を受けると、譲渡所得が最大で8割減少します。(法人も同様です。)
一見すると便利な特例に見えますが、落とし穴があります。
それは、買替資産(購入資産)の取得価格も最大8割減となる点です。
買替資産(購入資産)の売却時には多額の税金がかかりますし、減価償却費も8割減となってしまいます。
となると・・・
そうです。場合によっては特例の要件を満たしていても特例を受けない方が良い場合もあるのです。
この点は取り返しがつきませんので、売却前によくシミュレーションして下さい。
なお、この特例は何度も「今年で最後」と言われながら延長、延長と続いています。
毎年の税制改正には注意して下さい。
- 特例2 相続税額の取得費加算
相続により取得した投資用不動産については、相続税の申告期限から3年以内・つまり相続から3年10ヵ月以内に売却した場合には、相続税額の一部を経費化することができます
土地以外の財産はその財産対応分しか経費にできませんが、土地は全ての土地を対応分を経費にできるため、この特例を受けられる方は期限内の売却を目指して下さい。
(例)相続財産3億円、相続税額1億円で相続財産の内訳が下記の場合
土地A 5,000万円
土地B 1億円
建物C 3,000万円
建物D 2,000万円
現金 1億円
〔建物Cを売却した場合〕 1億円×3,000万円÷3億円=1,000万円が経費化
〔土地Aを売却した場合〕 1億円×(5,000万円+1億円)÷3億円=5,000万円が経費化
土地Aを売却した場合、土地Aの購入価格が不明であっても税金がかからないことになります。
特に購入価格が不明な土地がある場合、この特例を受けるために自分で作った法人に売却するという手もあります。
前例で土地Aを相続から4年後に売却した場合には、約19%の950万円が課税されますが、自分で作った法人に5,000万円で売却してからその法人が土地Aを売却した場合には税金はかかりません。