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不動産投資の初心者が知っておきたい経費の使い方と税務署対応【税金コラム05】

このコラムは、不動産投資専門税理士の志賀公斗先生に行ったインタビューをもとに作成しております。特に、多くいただくご質問をもとに、志賀先生にお答えいただきました。
 
 

税務署からのお尋ねには、どのように対処をしたらいいの?

——税務署からお尋ねが届いたのですが、内容には納得できていません。無視するのも怖いのですが、どう対応したらよいのでしょうか?
 
志賀:不動産の税務調査というのは通知が来るのが遅い上に、法人に対する税務調査はほとんどない、というのが現状なんですね。法人の担当は法人部門というのがあります。ひとつのエリアの法人をすべてチェックするわけです。年間の売り上げが500万とか1000万という会社と何千億の会社が税務署の中で同じ部門で見ているんですけれども、売上が小さい会社に税務調査を入れるほど、税務署も暇ではない。だから、法人の税務調査は実際のところほとんどありません。税務調査が入るのは、ほとんど必要経費がかからない状態なのに、大量の経費を交際費などで計上していた場合や、消費税還付などで問題が合った場合など税務署が嫌がることをした会社ぐらいです。ほとんどありません。
 しかし、個人の方は税務調査に至らないまでも、お訊ねが来るというケースが多いですね。法人は法人部門で大きな会社と一緒に小さな会社もチェックされているので、小さい会社は見逃されがちなのですが、税務署の個人部門では、町の飲食店とか商店街が減っていますから、売上高が多い不動産投資家の方に目がいってしまうケースも少なくありません。そういう事情もありまして、個人の方にはお尋ねが来るケースがありますね。不動産所得で赤字申告をしても、税務署の方で調べたら赤字に至らないのではないかと聞かれるわけです。特に指摘されているのは減価償却です。減価償却すべき資産を一度に経費にしていないかどうかということをチェックされているわけです。よくあるのが、土地と建物の割合で建物の割合を大きくし過ぎていないかどうかなどがチェックされるわけです。
 
——個人事業の大家さんが、税務署にチェックされる機会が多くなってきているというわけですね。
 
志賀:そうですね。これは税務署の問題としか言えないんですけど、個人事業主そのものが激減している。個人事業主で儲かってる方はすぐに法人化しちゃいますから。ますます税務署は見るところがないんで、不動産投資家のところに注目が集まるということだと思います。昔は税務署が見ていないから、好き勝手にやってしまったというのも原因の一つにはあります。チェックの対象となるのが減価償却関係ですよね。特に年収が高い方。給料所得が年間1000万円を超えていらっしゃる方。さらに確定申告で赤字を出して税金の還付を受けている方、この2つが税務署からチェックされる対象になっています。
 それで、お尋ねが来た場合ですけれども、無視は一番よくないですね。自分で最初から申告が間違っていたと修正して申告をすることを修正申告といいます。修正申告のケースと税務署からのお尋ねを無視し続けて、更正処分をされるのでは罰金の額が違うんです。なので、仮に税務署が間違っているというケースであっても、税務署からの連絡を無視するのは非常によくありません。やはり税務署に連絡をとって、しっかり対応した方がいいと思います。
 
——どのような対応を取ればいいのでしょか?
 
志賀:お尋ねの内容に納得いかないというのは、自分は経費だと思って処理をしたのに、税務署は経費として認めないとか言われるようなケースですね。それで、納得できないというなら、最後まで戦うというのが良いのではないかと思います。戦わずに自分から修正申告を出した場合でも、最後まで戦って諦めて負けて修正申告を出した場合でも罰金の額は一緒ですから、納得のいくまで税務署と戦ったほうが自分で納得できるのではないかと思います。税務署も部署によっても担当によっても全然言うことが違います。
 たとえば、サラリーマン大家さんが自家用車を経費にした場合、事業で使っているのは何パーセントなのかを按分して提出することになります。ドライブレコーダーできちんと証拠をつくる人はいないので、見積もりになってしまいます。半分ぐらい不動産投資で使っているなという感覚で費用を半分、計上します。しかし、税務署は「あなたは、サラリーマンで土日にしか車は乗らないはず。だから事業分は7分の2なのでは?」と指摘されることもあります。もっとひどいのは、「サラリーマンに車はいらないから、絶対に認めない」というものです。税務署の担当者によって基準がまったく違うわけですね。そもそも経費の基準については、一つの確固たる正解があるわけではないので、税務署のいうことを鵜呑みにする必要はないでしょう。
 
——税務署と納得できない点について、やり取りする場合は、電話のやり取りになるのでしょうか? それとも書面のやり取りになるのでしょうか?
 
志賀:基本は税務署から書面が来ると思います。たとえば、「この書面を出してください」とか「追加の書類を出してください」というものです。大体この二点なんですけど、税務署は平日の9時~17時までしか対応して頂けないので、サラリーマンさんが税務署に行くのは難しいでしょう。ですので、郵便と電話での対応になると思います。税務署はサラリーマン大家さんに修正申告を出してもらうために、誘導尋問ではないのですが、あなたが間違って経費を計上しているから、修正申告を出して下さいという手口なんですね。これが税務署の誘導尋問の上手いところで、修正申告を出すってことは、自分が間違いを認めたってことになってしまうんです。自分で修正申告書を出した場合は、基本的にはあなたの負けです。後から納得いかなくても、もう修正申告を出したらダメなんです。なので、納得いかなければ、修正申告は出さない。これが一番大事だと思います。
 
——こちらのアクションとしては、書面で出すというところまでやれば無視ではないということですね。
 
志賀:そうですね。その後、税務署も言ってくると思うんですけど。ここが違うので修正してくださいという話になる。修正申告を出さなければいけないための根拠を提示してくるわけですね。最初はそういうやり取りが何度か続いて、最終的には税理士を通さないと修正申告を出さないといけない状態になると思います。ここで修正申告を出さなければ、更正処分ということになります。自信があれば更正処分で強制的に処分をされてしまいます。よくあるのが、物件購入時の仲介手数料を支払手数料として一回で経費で落としてしまった。これは最初から税金の計算上、間違っていますので、これを税務署に突っ込まれたら勝ち目がありません。
  しかし、経費でもグレーゾーンといわれる明確な基準がない場合の車両関係の按分とか、不動産会社の接待費用などは、税務署の交渉で割とどうにかなるケースが多いです。例えば、問題点が5個あったとしたら、じゃあ2個は修正しますから3個は見逃してくださいとか、そういったバーター取引がまかり通る世界なので、税理士を通していただければ、傷を最小限で済ましていただけるのではないかなと思います。白を黒にするとか、黒を白にするとかは難しいですけど、グレーをちょっと白めにするとか、白めのグレーを黒めにするとかそれくらいならお手伝いできます。
 

税務署から疑惑を抱かれがちな必要経費

 
——不動産投資で税務署からお尋ねの対象になりがちな経費は何ですか?
 
志賀:個人の場合で多いのが、私的な費用と必要経費との混同で、家族で外食したり、旅行に行ったりした経費ですね。物件視察では旅費交通費という勘定科目を活用することが多いと思いますが、その経費が100万円を超えていたら、税務署から質問が来ますよね。
いろんな個人事業を見ている税務署の担当者が確認をしているので、賃貸物件を持っていれば、稼ぐことができる大家さんは、旅費交通費や交際費も不必要だと思われている。あるとしても、管理会社とか不動産会社と飯食うだけでしょという感覚です。だから、年間100万も200万も旅費交通費や交際費がかかるわけがないという感覚なので、その勘定科目が多ければ、調査は来やすいのではないでしょうか。もちろん、不動産会社を接待した飲み食いは経費になりますが、そこに家族旅行や家族との飲食が入っているとダメということになります。よく従業員に慰安だなんて言うんですけど、家族で行ってしまうと家族旅行とみなされてしまうので、否定されるケースがほとんどになると思います。
 
 
——3年前に誤って、減価償却資産を修繕費で経費を計上してしまった。このまま放置すると罰金を払わなければと少々心配しております。その場合、どんなリスクがあるのでしょうか?
 
志賀:減価償却費を修繕費で計上して、放置して後から税務署に直してくださいと指摘を受けたとします。それで自分から間違っていましたという形で、修正申告した場合ですが。過少申告加算税という形で、本来払うべき税金にプラス10%課税されます。新たに納税する税金が50万円を超えている場合は、50万円までが10%、50万円を超えた分に関しては15%の税金が課税されます。たとえば、100万円の経費計上を間違えたというケースを考えてみましょう。たとえば、課税されている税率が30%で100万円の経費を間違えた場合、税金は30%で30万円です。その30万円に対して、過少申告加算税の10%がかかります。30万円の10%ですから3万円追加で税金を支払うということです。
 誤った100万円に対して30万円が多いか少ないかはそれぞれ感じ方があると思いますが、100万円のミスがあって3万円くらいであれば、ミスの罰金なら少ない方だと私は思います。あまり過剰に心配する必要はないかなと思います。
 ただし、問題はこれが架空の経費だった場合です。実際には修理してないのですが、修繕費として費用を上乗せしちゃった。こういった場合は悪質な脱税といった形で、重加算税が掛かります。重加算税の場合はだいたい30~35%が課税されることになります。過少申告加算税に対して3倍くらい高いんですよね。なので、最悪の場合のリスクとしては、重加算税を取られるリスクがあるということを考えていただければと思います。
 加えて延滞税という利息がかかります。これは法律で定められた納付期限から納付する日数に応じて課税される税金です。これが金銭的なリスクになってくると思います。
 よく脱税すると立件されるのではないかと言われるのですが、脱税が何千万単位までいかなければ立件は、ほとんどありません。基本は罰金さえ払えばそれで終わりなので、逮捕されるなどの心配はないと思います。
 
——更正処分になったときの処分としてはどのようなものがあるのですか?
 
志賀:更正処分の場合も、原則的には過少申告加算税が課されます。しかし、過少申告加算税の中でも自分から税務署に指摘される前に、自主的にした場合と税務署に指摘された場合で率が違うんですよね。指摘する前に修正すると罰金5%で軽めなんです。なので、ご心配であれば先に修正申告するのが良いかなと思われます。税務署も全部一つ一つ見てるわけではありませんし、結局、書類からそこまで不正って分からないので、バレなきゃいいや、で通しちゃう方もいますし、少しでもやましいことは直したいという方もいます。それは投資家さんの性格次第かなと思います。なるべく速やかに修正した方が、指摘されるより、税金も安いということですね。
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