
「経費を減らす」のに夢中になるのは、他の税金対策を知らないから?
税金対策は、何も「経費を減らす」ことばかりではありません。「経費を減らす」税金対策の最大のデメリットは、「現金の支出を伴う」ということです。現金の支出を伴うということは、将来、投資をするための資金が手元からなくなるということを示しています。
不動産投資家の最終目標はお金を増やしたいということだと思います。ところが、知らず知らずのうちに、税金を減らす方に注力してしまっている。よく「あといくらまで経費を使えますか?」と聞かれることがあるのですが、それは投資ではありません。無駄遣いをするような形で経費を支出していては、投資資金を増やすこともできません。投資をしたら利益を上げるのが目的なのでなるべく経費は少ない方がいいはずなのです。
皆さんが「経費を増やす」ことに夢中になってしまうのは、「経費を減らす」税金対策しか知らないのが原因だと思います。もっとさまざまな節税方法を学ぶべきでしょう。
たとえば、所得から一定の金額を差し引くことができる「控除を増やす」ことも税金対策として有効です。たとえば、確定申告を青色申告に変えるだけで、特別控除10万円の特別控除を受けることができます。仮に皆さんが、マンションやアパートで10室、戸建てで5棟の不動産を賃貸経営し、複式簿記で帳簿を作成していれば、65万円の特別控除を受けることもできます。控除を使って所得を減らし、結果的に税金を減らすことができます。「控除を増やす」対策のメリットは現金を支出しないで、税金を減らすことが強みです。ただし、「控除を増やす」ことによって、何百万円も節税することは不可能でしょう。
「税率を下げる」ことも税金対策のひとつです。日本の所得税の仕組みは、超過累進課税。収入が多ければ多い人ほど、高い税率で課税されることになります。税率を下げるためには、収入が低い配偶者に不動産の所得を分散したり、最高税率が個人と比べると低い法人で不動産投資を行ったりする方法があります。税率を下げて節税する方法は、一度きちんと仕組みをつくってしまえば、継続的に節税ができる方法です。
それでは次回からは、税金対策について、もう少し詳しい話をしていきたいと思います。