副業で不動産賃貸!一棟買いと区分所有のメリットとデメリットを解説

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TOPページ不動産投資Q&A 副業で不動産賃貸!一棟買いと区分所有のメリットとデメリットを解説
不動産コラム

一棟買いと区分所有の違いとは?

(質問)
副業で収入を増やすため、これから不動産賃貸業にチャレンジしようと思い、色々な関連書籍を読んでいます。一つ困ったのが、本によっておススメする方法が違うことです。たとえば、区分所有のマンションに投資するのを勧める本、木造などのアパートを一棟買いを勧める本など。そもそも、区分所有と一棟所有の場合、不動産賃貸業としてはどちらが良いのでしょうか。
 

不動産購入戦略の重要性

 
ご質問ありがとうございます。確かに不動産賃貸業の関連書籍は、書き手によって意見が全然違うため、ただ単に読んでいるだけだと、頭が混乱して何が正しいのか分からなくなりますよね。不動産賃貸業(特に住宅系)では、マンション・アパートを1棟丸ごと購入する「一棟所有」と、主に都市部などのマンションを1室単位で購入する「区分所有」があります
 
区分所有を勧める人もいれば、一棟所有のアパート・マンション投資を勧める人、築古高利回り物件を勧める人、新築物件を勧める人、実に様々です。実はこれは不動産賃貸業の戦略全体に関わることなので大変重要なポイントです。というのも、その人がおかれた環境によって、どのやり方を選ぶか、正解が変わってくるからです。
 
ご相談者様は副業ですね。普段はサラリーマンでいらっしゃるので、銀行からの借り入れで不動産を買うなど、その属性を活かした不動産賃貸が可能となります。でも一方で、サラリーマンとしての収入がない自営業者の方の場合、違った戦略(融資を極力使わない方法、など)が必要になると思います。このように、人の置かれた環境によって、どのような不動産を購入していくかを考えることを、我々は「購入戦略」と呼んでいます。
 
不動産購入戦略の話は多岐にわたりますので稿を改めるとして、今回は特に区分マンション投資と一棟丸ごと投資する場合の不動産賃貸業のメリット、デメリットに絞ってついてお話します。不動産賃貸業を始める際、物件は区分所有がいいのか、一棟所有がいいのか、好みは分かれると思います。この点は特に初心者の方から多くいただくご質問ですので少し整理してみましょう。
 

区分所有物件のメリット・デメリット

区分所有では比較的少ない金額から不動産賃貸業を始められる利点があり、地域を分散することで災害のリスクを軽減できるなどのメリットもありますが、一方で、他のオーナーとの兼ね合いで、管理規約等に則り、入居条件の変更やリフォームが自由に行えないなどのデメリットもあります。
 
メリット1 投資総額が小さく小額からスタートできる
一般的に区分所有への投資は、投資総額が低くなります。自己資金も少なくて済むために、比較的参入しやすいのが区分所有の特徴と言えるでしょう。中古のワンルームマンションなどでは1000万円を切るような物件も多く出回っています。
 
メリット2 流動性が高い
不動産の泣き所が流動性リスク。どうしても証券投資などと比べると流動性は圧倒的に低いです。ですが、一棟所有と比較した場合には区分所有の方に軍配が上がります。一棟丸ごとよりも一部屋単位のほうが小額のため流動性が高く、買い手を見つけやすいからです。買いやすく売りやすいという面では、区分所有に分があると言えます。
 
メリット3 手間がかからない(一棟所有との比較)
一棟所有の物件と違い、区分所有の物件では共用部分の防水工事や修繕などは管理組合が行うのが原則です。オーナーは自分が所有する部屋の管理だけで済むため、一棟買いのように細かい修繕で悩まされることがありません。
 
メリット4 リスク分散しやすい
小口で部屋を所有できるので、複数持つ場合は、エリアや階数などを変えてリスク分散させることが出来ます。「災害リスク」などを考えると、エリアは分散させた方がいいでしょうし、単身世帯用のものが活況の時もあれば、ファミリー世帯用の方が人気だったりすることもあります。
 
 
デメリット1 空室発生時のダメージが大きい
一棟所有の場合は1部屋の空室が出ても全ての収入が無くなることはありませんが、区分所有の場合は空室になると丸々その分の収入が無くなってしまいます。家賃収入が無くなっても管理費や修繕積立金の負担が有るので、ローン返済と合わせると大きなマイナスになってしまいます。その意味で空室リスクの影響は区分マンションのほうが大きいと言えます。
 
デメリット2 キャッシュフローが少ない
前述の通り、区分所有の物件では、共用部分の維持管理・将来の修繕のために、管理費や修繕積立金を毎月徴収されます。これが結構割高なことが多いようです。区分所有投資派の方の最大の悩みは、やはりキャッシュフローが大きくならないこと、と言えるかもしれません。
 
デメリット3 レバレッジをかけにくい
区分所有の泣き所が融資です。特に規模を拡大させたい場合に区分所有の物件は足かせになることがあります。その理由は担保評価です。一般論として、区分所有は担保評価が低くなります。ですから、投資金額が小額なのにも関わらず意外と多くの自己資金が必要になります。
 
デメリット4 自分だけの意思で決定できないことがある
玄関ドアや窓サッシなど、共用部分に関わるリフォームについては他のオーナーの合意が必要になるなど、自分の思うような管理ができないことも区分所有の大きなデメリットと言えます。また、火災や地震で建物自体が焼失・倒壊した場合、一棟買いなら個人の判断ですぐに再建することができますが、区分所有では全てのオーナーと合意が得られなければマンションの建築に取り掛かることもできません。
 

一棟所有物件のメリット・デメリット

一棟所有の不動産賃貸業では、何といってもレバレッジを利かせられるのが大きな特徴です。そのほか、完全に自分で物件をコントロールできるようになるため、リフォームや入居条件の変更が自由に行えるメリットがあるものの、購入金額が高額になるのが一般的です。
 
メリット1 レバレッジをかけやすい
規模を拡大させるのに有利なのは一棟所有物件です。それは、一棟所有の不動産の方が大きな金額で融資を受けられるからです。もちろん区分所有でも融資を受けることは可能ですが、土地付きのアパートなど一棟買いに比べて担保評価額が低くなりがちなので、自己資金を多く使わなければならないことも多いようです。
 
メリット2 キャッシュフローが大きくなる
上記1にも関連しますが、一般的に区分所有よりも一棟所有の方が投資総額が大きくなるので、その分キャッシュフローが大きくなります。また、諸経費についても、管理費、修繕積立金などをある程度自分の工夫でコストダウンすることもできるほか、規模が大きくなると節税対策なども講じることが可能になるため、運営手腕次第では区分所有よりもキャッシュフローを大きく増やすことも可能になります。
 
メリット3 自分で物件をコントロールしやすい
区分所有だと、マンションの共用部分や全体についての変更を自分の意思では行えません。所有者全員で意見をあわせるのはとても難しいですし、時間も労力もかかってしまいます。一方一棟丸ごと所有している場合、大規模な修繕や建替えを自分の意思、好きなタイミングで行うことが出来ます。
 
メリット4 収益が安定する(空室発生時の影響が少ない)
入居者の募集をしっかりできるならば、長期的に安定した収入が望めることも一棟所有の魅力です。仮に1部屋の空室が発生しても収入が一気に収益がゼロになるということがないからです。一つの建物に複数の貸室がある分、一棟所有のほうが区分所有よりも1部屋あたりに対する収入の依存度は小さくなります。そのため空室に対するリスクを小さく抑えられ、収益を安定させることができます。
 
 
デメリット1 投資総額が大きい
規模が大きいことの裏返しですが、土地付きで1棟丸ごと購入するため、区分所有よりも多額の資金が必要になることが多いです。銀行で借り入れする金額も大きくなりますので、年収や自己資金なども区分所有物件を買うよりもハードルが上がると考えた方が良いでしょう。いずれにしても、一棟買いのアパート投資では十分な投資計画を立てた上で臨む必要があります。
 
デメリット2 流動性が低い
不動産の泣き所が流動性リスク。どうしても証券投資などと比べると流動性は圧倒的に低いです。そして同じ不動産でも、区分所有と比較して一棟ものは流動性が低くなります。一棟丸ごとよりも一部屋単位のほうが小額になるので次の買い手を見つけやすいからです。買いやすく売りやすいという面では、区分所有に分があると言えます。
 
デメリット3 手間と労力がかかる(区分所有との比較)
区分所有の物件と違い、一棟物件では共用部分の防水工事や修繕などはオーナー(またはオーナーが依頼する管理会社)が手配するのが原則です。その分、経営手腕次第では収入を大きくすることも出来るのですが、その分手間と労力と勉強が必要、ということです。
 
デメリット4 地域を分散させにくい
一か所に物件を集中させないことも経営としては重要です。自分の物件があるエリアで、急に新築競合物件が次々と建ち始めたら、一気に賃貸相場が崩れる可能性があります。それも、区分で1室しかない部屋だったらある程度吸収することはできますが、これが複数部屋があると、影響は甚大です。収益性が一気に下がる可能性があります。また、区分所有で色々な場所に物件を持っていれば、万が一災害等があった場合もある程度リスクを分散することができますが、一棟買いの場合は災害で1棟全てを失ってしまうことがあります。
 
 
以上、区分と一棟のメリットデメリットをまとめました。おさらいすると、区分投資のメリットは「始めやすさ」「流動性の高さ」「手間のかからなさ」「リスク分散」にあります。一方、一棟投資のメリットは、「レバレッジ」「キャッシュフローの大きさ」「収益の安定性」「コントロール」です。どちらも一長一短です。そして二つのメリット・デメリットは裏返しの関係です。どちらが不動産賃貸の手法として優れているのか、それはあなたが不動産賃貸業でどのような結果を求めているかによって回答は変わります。どちらの特徴の方があなたの好みに合うか、それが重要なポイントです。
 
不動産賃貸業は、最初、一つ目の物件の買い方が非常に重要です。なぜなら、その後の展開が一つ目の物件の買い方である程度決まってしまうからです。途中で方針転換するには大きな労力と時間がかかることがあります。是非一つ目の物件を買う前に、色々なところで情報収集してみてください。
 

(質問)
なるほど。区分、一棟のそれぞれのメリットデメリットはよくわかりました。でも実際、副業で不動産賃貸業を始めるならば、どちらがいいのでしょうか。特に副業で始める場合の注意点も教えていただけるとありがたいです。

 

副業の方が不動産賃貸業で注意すべきポイント

 
副業として不動産賃貸業を始める場合、どちらが良いかですね。でもこれ、なかなか難しい問題です。というのも、不動産賃貸業で何を求めるか、どのくらいのリターンを求めるかによって結論が異なるからです。
 
そもそも副業で不動産賃貸業をスタートするには、いくつか注意点があります。あくまでも副業ですので、本業に支障が出ないことが大前提です。
 
1. 副業禁止規定に抵触しないこと(特に公務員)
不動産賃貸業に関しては、比較的寛容な会社も多いですが、中には副業禁止規定で厳格に制限している会社もあります。少なくとも自分の会社では、どのような規定になっているのか確認は必要です。
 
2. 副業に時間を取られ過ぎないこと
不動産賃貸業の中には、手間をかけて高収益を実現する方法もあります。ボロ物件をDIYで格安リフォームして高稼働物件に生まれ変わらせる方法などです。しかし、それは副業の身ではなかなかツライと思います。物件を探して、無事に取得し、稼働が順調に始まるまでは、どうしても手間がかかるものです。ですが、その後も度々手間がかかるようだと、あなた自身が疲れてしまいます。本業にも影響が出かねないので、収益性ももちろん重要ですが、副業の場合には、極力ご自身の手間と時間を温存できる方法が望ましいでしょう。
 
3. 経営が安定していること
これも重要です。経営が傾き始めると、他のことに集中できなくなります。副業の方がこの状態に陥ると大変。本業にも集中できず、周りからも、あなたの素行が少しおかしく見えてしまう可能性があります。ですから、安定して経営できることも非常に重要なポイントです。
 
 

あなたが副業×不動産賃貸業で重視することは?

さて、前述内容を踏まえて、あなたが副業×不動産賃貸業で、どのようなことを重視するのか。それを明確にする必要があります。
 
 
1 (副業×不動産賃貸)収益性を重視したい。
これは会社を辞めたい人に顕著です。この場合は、できる限り短期間で最大のCFを得るために、レバレッジ(融資)を活用することが必要と思います。そうすると、一棟もののアパート・マンションの方が適しているでしょう。
 
2 (副業×不動産賃貸)手間がかからないことを重視したい
区分派の投資家さんの多くは「本当に手間がかからない」「通帳を見るまで存在を忘れている」とまでおっしゃる方もいらっしゃいます。おそらく、まともな入居者に借りてもらえれば、仕事が手につかなくなるような事態はそうそうないはずです。キャッシュフローは小さくなりがちですが、将来の年金代わりに、など気長に投資できるのであれば、良い立地の区分マンションに投資するのもありかも知れません。
 
3 (副業×不動産賃貸)撤退しやすいことを重視したい
これは特に不動産投資に対して不安が大きい人からよく寄せられる要望ですが、いざというときにすぐに投資から撤退できることを重視する方もいらっしゃいます。その場合は、できるだけ金額が小さい方が有利です。その物件を買える客層が広くなるからです。あとは、投資物件でありながら、実需(実際に自分で住む)ニーズを取り入れられる物件は出口で有利です。具体的には、次の買い手が住宅ローンを使えるような物件で、立地が良いものであれば、比較的流動性は高いと思われます。
 
 
このように、何を重視するかによって、選ぶ物件も変わってくるので、是非あなたが副業で不動産賃貸業をする場合に、何を求めるのかを明確にして取り組んでください。
 

(質問)
なるほど、3つの軸のうち、どれを優先すべきかによって選ぶべき物件や投資方針が変わってくるのですね。でも、正直なところ、自分の場合は全部ほしいです。収益性も大事ですし、手間がかかるのも困ります。さらに、いざというときに物件を売却して手仕舞いすることが出来るのも大事だと思っています。無理かもしれませんが、これらの望みを叶える方法はないでしょうか。やる以上、リターンはほしいですし、何としても失敗はしたくないのです。良い方法を教えて下さい。ダメならば、3つのうち、優先順位を教えてください。

 

まずは再起不能な失敗を避けること

 
非常に難しいご要望ですね。全部を満たす物件などそうそうないですし、あっても投資家同士の激烈な競争になります。また、方針が定まっていないと、物件を探すときにあれもこれも情報収集する中で、投資の基準がブレてしまって、買わなくてもいいような物件を買うことにもつながります。難しいかもしれませんが、やはり優先順位は自分きちんと決めてほしいと思います。
 
ちなみに、あえて言うのであれば、再起不能な失敗を避けることが最優先ですね。再起不能な失敗がどういうものか、それを理解するところからスタートです。
 
1. キャッシュフローがマイナス
黙っていると現金が出ていく状態が続くことです。これでは経営が維持できませんので非常に深刻な状態です。銀行への借入金返済が滞るようになるのもこの状態です。
 
2. 残債務以上の金額で売却できない
そして最悪なのが、その物件の市場価値が、残債務よりも低い状態である時。つまり、売りたくても借金を返せないので売れない状態です。
 
仮に例を取ってみましょう。Aさんは4年前に融資を受けて1棟アパートを購入しました。ところが、周りに新築アパートが増えたせいで空き室が目立つようになり、月々のキャッシュフローが赤字に転落してしまいました。
 
Aさんは赤字の状態がイヤなので、早く物件を手放したいと思っています。不動産仲介業者に相談したところ、妥当な売却価額は4000万円くらいです、と言われました。しかし、借入金の残債務は5000万円も残っています。
 
こうなると、Aさんは、売却価額4000万と残債務5000万の差額である1000万円を自分で補てんしなければ、物件を売ることはできません。不動産の抵当権を抹消できないからです。抵当権が抹消されていない不動産など、買主は決して買いませんし、買主の融資先がお金を出してくれません。
 
さらに、仲介手数料などの諸費用も掛かりますので、その分も考えなければなりません。仲介手数料は売却価格の3%程度です。そのくらいはかかりますので、それも織り込んでおいた方がいいでしょう。
 
ここでお伝えしたいのは、自分がその物件を買った後、次の買い手がどのような金融機関で融資を受けて、いくらくらいで売却できるのかを予め把握しておくこと。出口の憶測を誤ると頓死します。このあたりを理解するためには、不動産投資と融資の関係について、もっと学ぶ必要があります。紙幅の関係で別稿にてまとめたいと思います。
 
まとめると、次の買い手に買いたたかれるような物件は買わないこと、キャッシュフローがマイナスになるような物件は買わないこと。これが最優先です。
 
 
 

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